薬剤師の仕事には、どんなやりがいがあるの?

更新:19/1/23

薬剤師の仕事には、どんなやりがいがあるの?

中学2年生
あかり

将来なりたいものが分からなくて悩んでいたら、「薬剤師になれば安定した生活を送れるし、やりがいのある仕事だからオススメだよ」って言われたんだけど……薬剤師の仕事のやりがいって何?そもそも「やりがい」って言葉がよく分からないんだけど、どういう意味なの?

薬剤師
みどり

やりがいっていうのは、「この仕事をやっていて良かった」「頑張ったかいがあった」って思うようなことだよ。薬剤師に限らず、どんな仕事にもやりがいはあるし人によって感じ方も違うから、私が感じる「薬剤師のやりがい」を教えるね。

1. やりがいは楽しく生きていくために必要なもの

「この仕事をやっていて良かった」「頑張ったかいがあった」って思うようなことが、やりがいなんだよね?じゃあ、「お給料がたくさんもらえて嬉しい」とかもやりがい?

そうだね、それはよくあるやりがいの一つだね。あとは、単純に「楽しい」とか「ありがとうって言ってもらえて嬉しい」とか。ライバルに勝ったり、一番になったり、すごいってみんなに褒められたりした時にもやりがいを感じるよね。

あ!それなら私もある!勉強めちゃくちゃ頑張ってテストの点数が良かった時に、褒められると「頑張って良かった〜」って思うよ。これもやりがい?

そのとおり!他にも、オシャレな街で仕事ができること、キレイなオフィスで働けることにやりがいを感じる人もいるよ。

そういうのもやりがいなんだね。じゃあさ、私のお父さんが「仕事が終わった後に飲む酒は最高にウマい!このために頑張れるんだよな~」ってよく言ってるんだけど、これもやりがいなの?

うん、頑張ったかいがあったと思えているからね。こんなふうに、やりがいの感じ方は人それぞれだけど、そのやりがいがあるから働こうって思えるんだよ。

へ〜、仕事ってツラくて大変なものだと思ってた。

まぁ、中には「ツラい」と思いながら我慢して仕事している人もいるんだけどね。でもどうせなら楽しく仕事できた方がいいよね?

うーん……仕事したことないから分かんないや。

じゃあ、学校で例えてみよう。一日で考えると学校で過ごす時間って長いよね。でも「学校に行きたくないなぁ、嫌だなぁ」って思っていながら過ごしていたら、一日がもっと長く感じるしツラいよね?

たしかに。嫌いな授業がある日とか、一日がものすご〜く長く感じる。朝起きるのもツラい。

うんうん。それが仕事も同じなんだよ。学生は「学校」だけど、大人は「仕事」が生活の中で長い時間を占めているから、その長い時間が楽しくなければ、人生も楽しくなくなってしまうよね。

こんな人生、ツラいでしょ…

そんな人生やだ!楽しい方がいい!

でしょ?だから楽しく生きていくために、仕事にやりがいを感じるかっていうのは大事なことなんだよ。

2. 薬を扱えるのって実はけっこうスゴイ

それで、薬剤師の仕事にはどんなやりがいがあるの?

そうだなぁ……私が感じる薬剤師のやりがいは、まず「薬を扱えること」かな。

え? それって、薬剤師なら当たり前のことじゃん(笑)

うん、当たり前のことだよね。でもさ、例えば風邪を引いた時に薬を飲むだけで症状が軽くなったりするけど、これってよく考えてみたらスゴイことだと思わない?

ん〜……言われてみれば、まあ、たしかに。

そういえば私も、じんましんで全身に赤いブツブツができて、かゆくて寝られないことがあったんだけど、薬を飲んだらすぐにかゆみが止まったんだよね。ブツブツも1日で消えたし。その時に「薬ってスゴイ」って思った!

ね! 普段は意識しないから何も思わないかもしれないけど、薬は病気を予防したり治したりして、人の命を救うことができるスゴイ存在だと思うんだ。そんな薬の専門家である薬剤師でいられることを、私は誇らしく思うよ。

それに、薬はずっと昔から多くの人を助けているんだよ。例えば、結核(けっかく)っていう病気は知ってる?

聞いたことある気がするけど……。どんな病気なの?

結核は人から人にうつる感染症で、せきが出たり熱が出たりすることから風邪と間違えられやすい病気なんだ。放っておくと悪化して血を吐いたり呼吸困難で死んでしまったりするの。

まだ薬が無かった明治時代には、「国をほろぼす病」って言われるほど多くの人が結核で命を落としていて、歴史上の人物、新撰組の沖田総司(おきたそうじ)や高杉晋作(たかすぎしんさく)も、この結核で亡くなっているんだよ。しかも、二人とも20代という若さで。

えー! 20代なんてすぐじゃん! そんな病気、かかりたくないよ……。

大丈夫。予防接種も治療薬も開発されたおかげで、今では結核の死亡率が昔の100分の1にまで下がったと言われているから。

そうなんだ。私も結核の予防接種、受けたいな……。

自分の腕を見てごらん! ハンコみたいなアトが残っているでしょ?

ん? これって、ハンコ注射のアトだよね?

そう。このハンコ注射が「BCG」って呼ばれるもので、結核の予防接種なんだよ。

ということは、もう予防接種受けてたんだ! ずっと何のアトなのかな〜って思ってたよ!

アトが残らない人もいるんだけどね。今は生まれて半年くらいでハンコ注射を打つようになったし、精度も上がっているから、アトが残りづらくなってきているの。

もし昔の時代に、今ある結核の予防接種や治療薬があったら、歴史が変わっていたかもしれないね。

そう考えると、薬って歴史を動かせるくらいの力があるんだね!

そうだね。他にも、天然痘(てんねんとう)っていう病気は知ってる?

う〜ん? それは聞いたことないかも……?

それもそのはず。薬によって、天然痘という病気をこの世から完全に消すことに成功したからね!

天然痘も感染症の一つだけど、すごい勢いで感染するんだよ。1600年代にはインディアンの間で天然痘が流行して、4万人だった人口がたった数百人になってしまったなんて話もあるし、日本でも多くの人が天然痘で亡くなっているよ。

4万人が、数百人……。

そんな天然痘という病気をこの世から消したり、さっき話した結核で亡くなる人を減らしたりできたのは、どうしてなのか。それは昔、薬の専門家である薬剤師や医師が、安全で効果の高い薬を頑張って開発したり、予防接種が必要だってことを世界中の人たちに伝える活動を続けたりしたからなんだよ。

薬で多くの命を助けることができる

薬もすごいけど、薬剤師もスゴイね!

薬剤師はそんなスゴイ薬を扱える仕事なの。薬の正しい使い方や情報を提供することで、人を助けることに関わることができるんだよ。

3. 薬剤師は成長できるチャンスが多い

それから、「自分次第でどんどん成長できる」っていうのも、薬剤師としてのやりがいかな。

う〜ん?それって薬剤師だけじゃない気がするんだけけど……。

もちろん。でも同じ作業を繰り返すだけの仕事もある中で、薬剤師はいくらでも成長できるチャンスがあるの。なぜなら、新しい薬が日々生まれたり、病気に対する治療法もどんどん新しくなっていたりして、勉強することがたくさんあるから。

たった1年でも医療の世界は大きく進歩するんだよ。数十年前に正しいって言われていたことが、「実は間違いだった!」なんてこともあるし。

ということは、薬剤師になってからもたくさん勉強しないとだめ、ってことだよね?私、勉強するの嫌いだし、大人になったら勉強なんてしなくていいと思ってたから、それは嫌かも……。

「大人になったら勉強しなくていい」っていうのは、ちょっと違うかな。中学生や高校生がしているような勉強内容じゃないけど、薬剤師に限らず大人も勉強しないといけないんだよ。

え〜。仕事も勉強もしなきゃいけない大人になんてなりたくない……。

まぁ気持ちは分かるよ(笑)でも大人になると「やらされて勉強する」っていう感じから、「こんなことが学びたいから勉強する」っていう姿勢に変わっていく人が多いんだよ。

本当かな〜?

うん、自分のステップアップや将来のためにね。「資格を取りませんか?」っていうCMは見たことあるでしょ?

あるある。

あれは社会人がお金を払って勉強して資格を取っているんだよ。誰かに「勉強しなさい」って言われるんじゃなくて、自分でやりたいことや夢のために進んで勉強する人が多いんだ。

自分からでも勉強したいなんて思わない気がする……。

大丈夫。例えば、学校の授業でも自分の興味のあることだと勉強していて楽しいでしょ?質問がどんどん思いついたり、分からないことは積極的に調べたり。

あー、それはあるかも。

大人になったら、興味のあることや好きなことだけを勉強してもいいんだよ。「これを極めたい!」って思ったら、とことん学んでいけるんだ。

ふ〜ん、興味のない教科までやらなきゃいけない中学校とは違うんだね。

そうだね。薬剤師だと医療用の薬だけを扱うイメージかもしれないけど、他にも漢方とかサプリメントとかもあるから、そういうのを勉強して極めることもできるよ。薬と直接関係のないことを知識として身につけるのもおもしろいね。

薬と直接関係ないこと?

例えば、英語とか化粧品の知識とか。

本当に関係ないね。

でも直接関係していないだけで、英語が話せると海外から来た患者さんに英語で薬の説明ができるから安心してもらえるし、他の薬剤師さんからも頼りにされるよ。

あと女性の場合は、化粧品の成分や中身を理解するのに薬学の知識がすごく役立つんだ。化粧品メーカーに就職したり、ドラッグストアで化粧品のアドバイスもできたり。もちろん、自分が化粧品を選ぶ上でも役に立つよ。

へ〜、薬剤師って薬だけじゃないんだね!

うん。薬剤師という資格に他の知識をプラスすることで、自分の価値がグンと上がるんだ。

いくらでもレベルアップできる

そうやって自分の興味があることにチャレンジしたり、日々進歩し続ける医療の世界で学んだりして、薬剤師としてどこまでも成長し続けられることにやりがいを感じるよ。

なんか、勉強って言葉すら嫌いだったけど、自分の興味のあることを好きなだけ勉強して成長できるっていうのは楽しそうだなぁって思った。

中学校で勉強している内容は全てが基礎になるからまんべんなく勉強しておく必要はあるけど、好きなこととか興味のあることがあるなら、今からでも夢中になって極めていけば必ず自分の武器になるよ!

興味のあること、そうだなぁ……薬剤師に興味出てきたから、もう少し教えて!

そうきたか(笑)じゃあもう少しだけ話すね。

4. 薬剤師は緊急時にも人の役に立てる

東日本大震災の時に、薬剤師がすごい活躍をしたっていうのは知ってる?

え、薬剤師が?聞いたことないかも。どんな活躍をしたの?

話してもイメージしにくいと思うから、この漫画をオススメしとくね。

Pharman!-3.11 東日本大震災薬剤師日記-

薬剤師が震災時にどうやって人々を救っているのか、楽しく読みながら知ることができる漫画だよ。気が向いたら読んでみてね。

ありがとう!でもさ、震災なんてそうそう起こることじゃないよね?だからなんか、遠い話というか……縁のない話というか……。

そんなことはないよ。日本は地震大国だからいつ起きても不思議じゃないし、生きてるうちに、きっとあと何回かは起きると思うよ。

う〜ん、まぁ、震災はできれば起きてほしくないんだけどね……。

そうだね……。でも薬剤師は、震災時以外でも同じように動いて身近な人を助けることもできるんだよ。家族が体調不良や病気になった時に頼ってもらえるし、相談に乗ってアドバイスもしてあげられるの。

それすごくいいじゃん!どんな相談されるの?

最近だと、私のおばあちゃんに「最近手足がしびれるんだよね」って相談されたよ。

「ビタミンBちゃんと飲んでる?」って聞いたら、「ちょっと前にビタミンBのサプリメントがなくなって、そっから飲んでない」って。ビタミンB不足からくるしびれの可能性があるから、すぐにサプリメントを再開するようにアドバイスしたよ。

そしたら数週間でしびれが消えたって、おばあちゃん喜んでくれた。自分の薬剤師の知識で身近な人を助けられたって感じて私も嬉しかったよ。

へ〜、いい話だねっ!でもさ、それって普通にお医者さんに診てもらった方がいいんじゃないの?

そうだよね。でも本人が「医者にかかるまでもない」と思ってることもあるんだよね。医師はちょっと怖くて相談しにくいけど、薬剤師は相談しやすいっていうのもよく聞くし。それに、医師はサプリメントに詳しいわけじゃないから。

じゃあ、けっこう相談とかされるんだ?

うん。家族からは、新しく病院でもらった薬があると「これ本当に飲んでもいいと思う?」って相談されることが多いかな。赤ちゃんのいるお友達からは「この薬は本当に赤ちゃんに使って大丈夫かな?」って。

すごい!やっぱり誰かに頼ってもらえるは嬉しいよね!私もそんな存在になりたいなぁ。

薬や病気の他にも、健康食品や食生活とか運動とかのアドバイスもできるね。こうやって身近な人たちの健康にも役に立てることをやりがいだって言ってる薬剤師さんも多いよ。

薬剤師のやりがいを聞いて、いいなぁって思い始めたよ。

まぁ、もちろん、やりがいと同時に大変なことやツラいこともあるんだけどね……。

監修

みどり

都内の製薬会社でDI・学術担当として働いている、現役の薬剤師。ドラおじさんの薬剤師・転職相談室では、全国の若手薬剤師を代表して質問をドラおじさんにぶつけていますが、ここでは私がぶつけられる側です。薬剤師経験を生かして、どんな相談にも一つひとつ真剣に答えていきます。

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